藤田 修 展

2023年4月8日(土)〜4月30日(日)

水曜~日曜 : 11:00 ~17:00
展覧会最終日: 11:00 ~16:00

休 廊 : 月曜、火曜

美術家在廊 : 4月8日(土)、9日(日)

藤田修展 プレスリリース

あーとらんどギャラリーは、フォトポリマー・グラヴュールと呼ばれる写真製版を利用してモノトーンの版画を制作している藤田修さんの個展を、4月8日(土)から30日(日)まで開催することをお知らせいたします。藤田さんは横浜を拠点として活動しています。

藤田さんはカメラのレンズを通して日常の風景を切り取り、フォトポリマー・グラヴュールという写真製版の技法でモノトーンの版画を制作しています。彼がレンスを向ける対象は、人物、都会や自然の風景など日常のありふれた風景ですが、特定のイメージや印象が喚起されない無印の風景、いわば普遍的な対象の影を捉えようとしているように見えます。それらの影は版画に落とす工程で更にモノトーンに還元され、かつ曖昧な輪郭を与えられることにより、誰もがどこかで見たことがあるような記憶を呼び醒まします。

藤田さんは大学卒業後、油絵を学んだものの、近年フォトポリマー・グラヴュールの技法を多用してきています。この技法は、感光性樹脂版を使い紫外線と水を用いて制作する凹版画で、「写真と大きく異なるのは、出来上がったものは紙にインクが立ち上がるようなイメージの物質化が魅力」と作家自ら表現しています。 そのような制作活動を通じて、1990年に第18回日本国際美術展でブリヂストン美術館賞を受賞、1994年に第30回神奈川美術展で神奈川県立近代美術館賞を受賞、1995年には第24回現代日本美術展で横浜美術館賞などを受賞しています。

当画廊での藤田さんの初個展は2015年。8年振りの今回の個展では、フォトポリマーグラヴュールによる新作版画集「WATER」のを中心として、水の流れをイメージした新作モノタイププリント、を加えて計40点を展示します。 この「WATER」の版画集について藤田さんは、「横須賀の走り水という海岸に立つ・・・この海の水は世界中に繋がっている・・・ランダムに切り取った7つの水に纏わる風景」だと記しています。 是非共多くの方にご覧いただきますよう、ご案内申し上げます。

藤田 修

1953 横須賀市に生まれる 1979 
多摩美術大学絵画科油画専攻卒業

個展
2015 ONE DAY 2015 (アトリエK /横浜)
    - select - (JINEN GALLERY/東京)
    硝子の向こう側 (ARTLAND  Gallery /丸亀)  
    再生 REBORN (ギャラリエ・アンドウ/東京)
2016 DAY (Monochrome Gallery RAIN/東京)
    Lost Time(ギャラリー白川/京都)  
    Lost Time (Gallery惺SATORU/東京)  
    藤田修展 (スペース三季/横須賀)  
    Select (Art Gallery M84/東京)
2017    Diary   - 降りそそぐ言葉 - (ギャラリエ・アンドウ/東京)
2018    Monochrome gallery RAIN/東京
           アートギャラリーミューズ/前橋
            Gallery惺SATORU/東京
2019   Monochrome gallery RAIN/東京
           ギャラリエ・アンドウ/東京
2020   岩崎ミュージアム/横浜
            アトリエK/横浜
2022   ギャラリー白川/京都
    Monochrome gallery RAIN/東京
           Gallery惺SATORU/東京
2023   ARTLAND  Gallery /丸亀

受賞

1990 第18回日本国際美術展・ブリヂストン美術館賞受賞
1992 第21回現代日本美術展・国立国際美術館賞受賞 1993 和歌山県立近代美術館賞
1995 横浜美術館賞受賞

パブリックコレクション
神奈川県、神奈川県民ホ-ル、多摩美術大学、アーティゾン美術館、横浜市民ギャラリ-、国立国際美術館、和歌山県立近代美術館、愛知県立芸術大学、神奈川県立近代美術館、横浜美術館、山中湖美術館、東京オペラシティ・アートギャラリー、山梨県立美術館、府中市美術館、横須賀美術館、町田市立国際版画美術館 他

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藤田 修 テキスト WATER

横須賀の走り水という海岸に立つと 東京湾に浮かぶ無人島(猿島)が見えます
時々この海を眺めてはぼーっとするのですが
いつものようにいつもの日の午後
この海の水は世界中に繋がっているという
ありふれた思いが頭をよぎりました
上野にあるあの公園の噴水も
函館のルドルフの聖母が立つ丘の上から見えた北の海も 大好きなセーヌ川を静かに流れるあの水も
テートモダンの前に流れるテムズ川の水さえも
ヴェッキオ橋が掛かるアルノ川の水だって
ブローニュの森を潤す雨もまた
みんな一つに繋がっているんだというありふれた思い ランダムに切り取った7つの水に纏わる風景に
レタープレスによるタイトルページを加え
版画集としてまとめてみました
タイトルは「WATER」
黒い夫婦函を作りそっと納めてみました
他に三点の新作フォトポリマーグラヴュール、12点の水の流れをイメージした新作モノタイププリント、18点のフォトポリマーグラヴュール、計40点を展示します。どうぞご高覧ください。

•フォトポリマー・グラヴュールとは感光性樹脂版を使った凹版画です。感光性樹脂版の形式は銅版画と同じですが制作過程が全く異なります。基本的に紫外線と水を用いて制作し有害な溶剤等は一切使用しません。一見写真そのままのように見えるかもしれませんが、写真と大きく異なるのはイメージの物質化です。銅版画インクを使用し、エッチングプレス機で印刷します。出来上がったものは紙にインクが立ち上がるようなイメージの物質化が魅力です。