藏本秀彦 展
-シャンデリア chandelier-
曖昧な記憶は本当にあなたの記憶だったのでしょうか。
少しずつ焦点がぼやけていく10枚のシャンデリアを描いた絵画をもとにリ・クリエーションします。
並べて見比べると微妙な変化に気付きますが、1枚ずつ別の場所で見るとその変化は気付かないうちに10枚目には画像は曖昧な色面になっていることでしょう。人の記憶というものは、そんなものではないでしょうか。
視覚的な記憶より他の五感の記憶が鮮明であったり、それが複雑に関係し合う記憶であったり、様々です。自分の記憶は知らず知らずのうちに別のものに変化しているかもしれません。より美しく楽しかった出来事に置き換わっているかもしれません。それはそうでしょう。身内の死や悲しい出来事をそのままリアルに記憶し続けるのは精神が耐えられないことだと思います。
でも世界には、そこに留まり生き続ける人たちがいることを忘れてはいけません。故郷や家族を奪われ、しがみつくような思いで生き、今も祈りが続いているということは常に私たちの記憶の中で褪せずに置き続けたいものです。
藏本秀彦
藏本秀彦 Kuramoto Hidehiko
筑波大学大学院芸術研究科修了。学生の頃より和歌山版画ビエンナーレ、西武版画大賞展、クラコフ国際版画トリエンナーレ、ブダペスト国際展など版画領域で独自な手法が注目される。その後「毎日現代展」に連続出品。「安井賞展」「VOCA」「ACRYL AWARD」「FACE」「ART OLYMPIA」などのコンクールや「CROSSPOINT」(香川県立ミュージアム)、「高松市美術館コレクション+木村忠太とこぼれる光の中で」(高松市美術館)、「国讃めと屍」(瀬戸内海歴史民俗資料館)、「せとうちの大気―美術の視点」(香川県立ミュージアム)などの企画展に出品。その他、蝉丸(山海塾)、梅津和時(sax)、岩下徹(ダンス)、高橋芙美(渋さ知らズ)などコラボレーションも多い。
個展「Babel」を(1つだけ美術館)で開催中。(9/2-9/30)