個展に寄せて 林 孝彦
大震災や原発事故のような人知を超えた大災害を前に、私にとって私の作品の力って?と問い返さざるを得ない気持ちになる。落ち込んだ日々の中でも、気持ちを高揚させ、勇気や元気を人々に与えてくれる暖かい食べ物、暖かい部屋、暖かなお風呂はきっと、つらい体に染み渡る。そして、うつむいて打ちひしがれていようとも、誰の耳にも届けることのできる音楽や語りや笑いを届けてくれる芸能たちもつらい心に染み渡るだろう。そんな力持ちはすばらしいものだ。
絵の力は非力の力。ぽつんと向き合う小さな鏡。一人になって向き合って、作者の創作のたったひとりの模索の中でたどり着いた安らぎをともにできる。語られるものは、見る人から問いかけられて初めてつながっていく。それぞれに、ぽつんと向き合ったときに、そこにある。無力なんかじゃあないと信じている。
制作スタイルについて 林 孝彦
作品を持って全国の画廊回りをした20代。私の作品の届け先はあるのか、自ら直接知りたいという思い一つでした。わからないことは誰かれなく恥を承知で自ら出向いて回るのはその頃も今も変わらない。
今後も作品を届けることを生業としていくために、パソコンに向っている今は50代。違って見えても思いは同じです。流行らないマイナーなテーマでも、大切な事であるならば、それを今きちんと存立させて行けるのがクリエーティビティーであり、そのために働き続けたいと願っています。
具体的には、自立できる表現を一個人として続け、各地の画廊で発表。1985年以来の個展数は174。近年は、グローバルにグループ展やアートフェアーにも出品するとともにTumblr、pinterestなどSNSを通じたonlineでの作品や考え方を発信をしています。フォロワー数は27,000人を超えました。
また、Little Christmas-小さな版画展の企画を通じ、新しい形での個の連携を探る試みを全国の画廊と世代を超えた作家たちとで続けています。
個人宅で飾られる比較的小さな作品制作を基本にしながらも、パブリックコレクションとしても5カ国22施設、寄贈、寄託作品を含め100点を超えました。
生年・出身 1985年 武蔵野美術大学油絵科卒業 現在 2026年 「抽象・細密 / Intricate abstract」ヒロ画廊(橋本) 2026年 コレクション3特集展示「反射する都市」国立国際美術館(大阪)林孝彦
1961年 岐阜県北方町出身学歴
1987年 東京芸術大学大学院版画専攻修了
埼玉県日高市在住主な個展
2024年 “breath of life, breath of line” Froelick Gallery(Portland, OR / USA)
2024年 銅版画連作「老子考」柳沢画廊(浦和)
2024年 銅版画連作「老子考」ギャルリプチボワ(大阪)
2023年 “SHI HAN SEIKI” Froelick Gallery(Portland, OR / USA)
2023年 “Multi-Axis, Swirling Lines” ギャルリー東京ユマニテ(東京) 主なグループ展
2025年 今日の版画 明日の版画 コレクションplus 佐藤美術館(東京)
2025年 収蔵品展082「紙の上の芸術」東京オペラシティ アートギャラリー(東京)
2025年 「コレクターズ・アイ4 中島コレクション」豊橋市美術博物館(豊橋)