「錐体のスクリーン」 亀井洋一郎
今回、あーとらんどギャラリーで開催する個展では、私が2001年より取り組んでいるLattice receptacle(ラティス レセプタクル)シリーズの作品を展示致します。
淡い青白磁調の格子体を基本形とする本シリーズは、鋳込み技法の量産性を応用した中空の同一単位(一辺5cmの立方体)の集積によって成り立ちます。
このような造形のシステムは、長い伝統の中でやきものを内面から支えてきた技法や工程、及びそれらに添うように存在する構造性や空間性に、自分なりの視点から築いた理論を重ね合わせることで導いたものですが、近年は磁器素材や釉薬の材質感と光の作用との密接な関係性を契機に、作品内部へもたらされる陰影の様相に意識をおいてその可能性を模索してきました。
今展で展示予定の作品も、Lattice receptacleの造形システムを基軸にそれぞれの制作をおこないましたが、その形態はこれまでと同様に立方体を基本単位としながら、次第に三角形や錐体という形へ移行してきています。このような展開は作品の表面的な外形の変化から試みたのではなく、自作のシステムを起点にして生まれる内形の変化へのアプローチと、それに伴い変化する光の表情への意識から導き出されたものです。
展覧会タイトルである「錐体のスクリーン」の“スクリーン”とは、展示作品をある視点から見ると作品内部にスクリーン状の面(間仕切り状の白い幕)と淡い陰影の諧調が出現することを指しています。これらは作品の内形と光との視覚的効果によるものですが、こうした私の表現は、自身の造形感覚と陶磁器の中空構造とが交わることによって発見し得たものだといえます。
亀 井 洋 一 郎
1974年 香川県に生まれる /2001年 朝日陶芸展でグランプリ受賞 /2006年 京都市立芸術大学大学院博士後期課程修了 /2010年 京都市芸術新人賞、香川県文化芸術新人賞受賞 /2014年 ジャカルタ現代陶芸ビエンナーレ(インドネシア国立博物館)に出展 /2016年 「工芸の現在」(菊池寛実記念智美術館)に出展 /2017年 「クロスポイント」(香川県立ミュージアム)、「物語る物質」(高松市美術館)に出展 /現在 沖縄県に在住