周 豪 Zhou Hao

2018年6月9日(土)~7月1日(日)


水曜~土曜 : 10:00 ~18:00

日・祝日: 10:00 ~17:00

展覧会最終日: 10:00 ~16:00


月曜(休廊)、火曜(予約営業)


出 品 : Pliage Collage(プリアージュ・コラージュ)、水彩、油彩画・・・・約25点

オープニング 「 周豪と対話 ー とことん万象諷詠 」
日 時  6月10日(日)14時~15時30分 会 場  あーとらんど ギャラリー 参加費  無料 申込み  不要
日本(横浜)と中国(上海)を拠点として、油彩画、ドローイング、水彩、コラージュなどを多彩に展開し、近年、アジアやヨーロッパ のアートフェアーに参加して、着実に評価をあげつつある周豪さん。
9回目になるこの度の個展オープニングでは、美術にまつわる自由な話題をとりあげ、参加者と共に対話を沸騰させる「とことん万象諷詠」を開催します。 採り上げる話題はその場次第。お気軽にご参加いただき、お楽しみいただきますようご案内申し上げます。

周 豪 ZHOU Hao

略歴・主要展覧会歴・収蔵先

略歴

1960年、中国・上海市に生まれる。6歳から高校までの約10年間を文化大革命の時代に過ごす。

1983年、私費留学のため来日。翌1984年、武蔵野美術大学造形学部油絵学科に入学。 3年次に新設された版画コースへ進み、同コースの第一期生としてリトグラフを学ぶ。 この時期から作品は次第に抽象的な表現へと変化していった。

同時期に柳宗悦の民藝思想に触れて感銘を受け、鈴木大拙の禅に関する著作などをきっかけに、 自国の古典文化を意識するようになる。 老荘思想の書物を繙く一方、日本および西洋の現代美術にも関心を寄せた。

1987年、小山敬三美術振興財団の奨学金を受け、 第1期アジア美術留学生として山梨県の白樺美術館で滞在制作を行う (東京吉井画廊協賛)。

1988年、武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画コース卒業。 1989年、日本政府(文部省)奨学金を受ける。 1990年、武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コース修士課程修了。

大学院修了後、東京・東麻布にあった益田祐作主宰の版画工房MMGに入社。 描版と刷りの仕事に携わりながら、自身の版画作品の制作・発表を続ける。 2003年に退社し、以後、作家活動に専念する。

2008年、2010年の二度にわたり、益田祐作の斡旋により、 フランスの Atelier Rémy Bucciali で銅版画を制作。 2016年、LOVEART – Summer Artists Residence Project に参加し、 イタリアで滞在制作を行う。

上海と横浜を拠点に生活し、制作活動を続けた。 日本と中国を中心に個展を開催するとともに、 国内外の国際版画展やアートフェアに参加した。

2023年9月、逝去。享年62。

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テキスト

最新作 Pliage Collage(プリアージュ コラージュ)は、周豪の作品としてはとても小さい。直径12cmのコンパクトディスクに収まる大きさで、厚手の柔らかな紙を精巧に折り畳んで方形の台紙に貼りつけている。外観は黒とベージュ、モスグリーンにホワイト生地、朱色に生成りの紙など装飾的な色を避け、明暗のコントラストのレイアウトの中に、描かれた線やエンボスの線、紙と紙の境界線や朱の点々を絶妙に配置している。

この作品の表現は小さな画面に圧縮されているので、鑑賞する立ち位置によって見え方が大きく異なってくる。先ず距離を置いてみると、モノトーンのクールな色彩と簡素な構図が目に入る。一方近づいてみると、色で区画された紙の表面に不規則に拡がる細かな凹凸が見えてくる。続いて区画平面の端の部分に目をやると、折り畳んだところを丸めていたり、紙を裂いた部分を丁寧に薄くしていたり、更には紙が漉かれたままの形を残していたり、緻密に計算して創られた豊かな表情が随所に発見できる。

周豪の作品全てに共通しているのは、全体を支えるこのような細部に到るまで己の情熱を注ぎ込んでいるところにある。この作品を少し離して明るい光が差し込むような状態で全体を眺めてみると、平面を覆う繊細な起伏とその端の部分の変化に富んだ表面に降り注ぐ光が、紙の繊維を透過しながら柔らかな光に姿を変え、再び鑑賞者の目に届く。これこそ、この作品が恰も幽玄な光を宿す陰翳の回廊のように感じる由縁なのだ。

装飾的な色を消し、形を内部に織り込み、本展で初めて公開するPliage Collage。遠く辿れば、「暗示性に富み、光の微妙な陰翳までとらえた、不思議な実体感のある空間をつくりだす(註1)」といわれる中国の南宋画に想いを馳せることもできるだろう。周豪のこの作品は、鑑賞しているときにふと何かに誘い込まれるようにその陰翳の回廊に迷い込むと、私たちの意識の深淵に向かって覚醒させる何者かが存在しているような不思議な経験をさせてくれる。正に「神は細部に宿る」のである。

(註1)日本美術の見方 戸田禎佑 P.183

あーとらんど ギャラリー 山下高志