国居惠子「今回の作品について」

晩年の周豪と私は、いつも横並びで油絵を描いていました。
リビングの片隅が、二人のアトリエでした。

並んで描いていても、それぞれ自分の絵に没頭するので、意外と気になりません。 ただ、私は椅子に座って描いていましたが、彼はずっと立って描いていました。 二台重ねたマップケースの上に小さなイーゼルを立て、目の高さに調節していたのです。

また、描いた後は必ず二人とも、絵の具はもちろん、イーゼルもキャンバスもすべて片付け、きれいにしていました。
それは最後の最後まで変わりませんでした。

亡くなる前年、周豪と私とで相談して、どちらが使ってもいいつもりで、 60×45cmの厚いキャンバスを20枚以上買い込みました。

周豪は、それを積み重ねていた窓際を眺めるのがとても嬉しかったらしく、 「ついついぼーっと見惚れてしまう」とFacebookに書いていました。

でも、結局、彼がそれを使うことはありませんでした。

その後も白いまま、ずっと積んでいましたが、 白いキャンバスがある――となると、それは描くしかない、と私は思ったのです。

今回、そのキャンバスを8枚組にして、大きなテーブルを描きました。

何となく、ゆるっとしたテーブル。
これから人が来るかもしれない場所として。

そして、ほかにも卓上のあれこれを6点描きました。

テーブルの上は幸福な場所です。
そして、そこから見えないものと、いつかつながる気がするのです。

周豪は、私に「いい絵を描けよ」と最後まで言っていました。

だから一人になっても描くつもりでしたが、最初の二年くらいは、 やっと小品を描いても本当に苦しくて、よく泣きながら描きました。

絵を描くことは、自分の心に向き合うことなのだと、あらためて思い知りました。

ようやく、ちゃんと描けるようになったのは、この頃です。

そして、やはり今も彼は隣で描いている、と感じています。

国居惠子

国居 惠子 KUNII Keiko

略歴・主要展覧会歴

略歴

香川県生まれ。横浜市在住。

武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業。

2016年、Lafore LOVEART – Summer Vacation Project に参加し、 イタリアで滞在制作を行う。

油彩を中心に制作し、身近な日常の風景や卓上のものなどを 題材として作品を発表している。

主な展覧会

1992
3人展、渋谷画廊、銀座

1998
モダンアート協会展、東京都美術館、上野
「明日への展望―モダンアート俊英作家展」 埼玉県立近代美術館、埼玉

2016
Lafore LOVEART – Summer Vacation Project、 イタリア滞在制作

2019
「Fuufu 2人展」国居惠子+周豪、小杉画廊、川崎

2020
あーとらんどギャラリー出品、丸亀

2022
国居惠子展、あーとらんどギャラリー、丸亀

2023
ART NAGOYA 2023、名古屋
国居惠子展、OギャラリーUP・S、銀座
「ディメンション Zero 展」 あーとらんどギャラリー、丸亀
企画グループ展「静物画展」 月ノ出画廊、南青山
企画グループ展「エンジェル展」 Otho Gallery、日本橋

2024
企画グループ展「わたしの暮らし展」 Otho Gallery、日本橋