梶浦徳雄  テキスト

私の制作は『存在』という事についての興味から始まっています。空間、物質、事象等々何かが“ある”とか何かが“起きてる”って“どういう事?”って不思議だし考えるととても面白いンですよね。自分がいること自体もナンデ?と思っていまして、少しでも自身の存在を実感したいナ、出来ればナという思いで制作をしています。その過程で何かを感じられ、得られるンじゃないカナと。プラス、それによって自身の可能性を広げられ充実、成長、自分作りが出来ればナと。

この数十年タイトルに『ma』を記しています。日本語では『間』ですけど意味が限定的にならないようにアルファベット表記にしてまして、私の住んでいたオーストリアというお国ではお役所の略表記のようでして“これ何?”とよく聞かれましたね。単純な意味としては『distance』という事なんでしょうけど私には『存在』ってヤツの重要な要素に思えてまして『関係を作る事柄』として捉えているンですよ。

モノゴトは全て周りの環境、状況、触れ合い方等々により様々に変化をしつつそれぞれの個を成立させてンじゃないカナと。日常生活での触れ合いも当然ですし、制作について言えば材料、素材、道具ナドによってやりたい事、やれる事が変化しある程度の決定がなされると思うンですよね。

そこで重要なのが自分の特性と相手の特性の対話ですカネ。それを通してお互いの新たな可能性を感じ、活かしあう筋道を作れるンじゃないカナと。より真摯に対話を積み重ねる事で少しずつ『存在』についての実感ができるンじゃないカナと。展示、設置も『ma』を考える上での非常に重要な要素で作品と置かれる空間や状況が互いにより活きるという事には拘っています。
私が苦手とする一番は『trend』ってヤツ、あと世間話や昔話もですね。

梶浦徳雄  略歴 (Kajiura Norio)
1951年岡山生まれ 1970年東京藝術大学工芸科デザイン専攻入学 1975年同大学院油画技法材料研究室入学 修了後同研究室に研究生として在籍 1981~82年国立ウイーン美術大学彫刻科に留学 
その間にヨーロッパ各地の美術事情、美術と社会の結びつきに触れその密接でスムーズなあり方に感銘を受け当地での活動を志す  1986年再渡墺しウイーン市に居住。1987年ウイーン市の画廊にて初の個展。その後ヨーロッパ(ドイツ、イタリア、スペイン、リヒテンシュタイン、ベルギー等)各地、各国で発表活動を行う 
1991年より日本国内(東京、大阪、京都、岡山、熊本、丸亀、長崎、神戸等)での発表活動を再開 
2017年末に帰国 岡山にアトリエを設け制作、日本を中心に各地で発表活動を行う。