山裡山外山    蔡 玉龍

蔡玉龍は雅号を狂草九潤という。1952年台湾の嘉義県に生まれ、現在上海に住む。彼は書画美術という文化の創造に全身全霊をかけて独自のスタイルを確立、近年、中国、日本、欧米各地の展覧会に度々招かれ、評価を得てきた。

「大巧はまるで拙のようだ」(註1)と日本の美術史家 益田祐作氏が評するように、「(彼の作品は)手先で書いた書ではない。中鋒の運筆法で全身全霊をかたむけて書いた身体のリズムと時間が感じられ、耳をすますと、筆と紙との摩擦が刻む音のリズムが聞こえてくるようだ。

書かなくなった人間からはイデーは消えてゆくだろう。こういう危機的状況をふまえてみれぱ、いま上海で筆で書くことの深度を深めている蔡玉龍の書の存在はきわめて重い意味がある。刻々と生まれだす蔡の書を漢字文化圈だけにとどまらず、全世界のただなかに据えて、これから筆跡の美学を論じあってゆかなければならないだろう。これは解体してしまった絵画の問題でもある。」

(註1)蔡玉龍 画集「狂草九潤」

蔡玉龍

1952 台湾嘉義県布袋生まれ 祖籍福建省
1979 台湾全土版画コンクール展(第一位)
1981 国立台湾芸術大学洋画科卒
1981 国立台湾芸術大学教官展 台湾国立歴史
   博物館
1982 台湾全土美術展歴代首席入賞作家展、
   台湾国立歴史博物館
1992「蔡玉龍書画展」、台湾国立美術館
2006「書絵画、絵画書」展、上海莫干路99
   スタジオ
2007「中国現代書法展」、上海莫干路99
   スタジオ
2008「時間、場所、人物―08中国現代芸術展」
   上海徐家匯芸術館
2008「大紅人」展、上海莫干路99スタジオ
2008「中国現代絵書秋シーズン展」Hai Gallery
   (イギリス、ロンドン)
2008「海上学院文化二〇〇八現代芸術展」、上海
   莫干路99スタジオ
2009「蔡玉龍展」、新生堂、東京、日本